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「よし。

キリもいいし、今日はここまでにするか」


「は~い」





 う~んと伸びをしていると、いつの間にか、圭くんは自分の荷物をまとめていた。


「どうしたの? 

ここ最近、帰るの早いね」





 なんとなく言った言葉。


 なのに、圭くんはピクリと反応したかと思うと、ジロリとあたしのことを見てきた。


 こういうところを見ると、あたしの気のせいなのかなと思う。


 だけど、あたしと目が合って暫く経つと、圭くんは急にハッとしたように顔を逸らす。





 ―――やっぱり、変………。


 何が変とは言えないんだけど、変なんだよね。





 コンコンと部屋のドアを叩く音。


 時を置かずとして、ドアが開いた。


「圭くん、下にお茶淹れてるんだけど、飲んでいかない? 

ちょうど、登紀子さんもいらしているし」


「え? お袋が?」





 苦虫を噛み潰したような顔をしながらも、圭くんは「わかりました…」といかにも渋々承諾する圭くん。