いつものように食堂で食事を取っていると、いきなり誠が俺に話を振ってきた。


「ところでさ、圭史。

お前、本当に元倉さんとは何もないわけ?」


「また、その話かよ~…」





 実は連日、誠にはそのことを聞かれる。


 そのたびに俺は毎日同じ答えを繰り返す。


「何もない」


「本当に本当か?」


「本当に本当だ」





 ったく、こいつはどうしてこうも同じ事を毎日毎日聞いてくるんだ?


「じゃあ、茅乃ちゃんとは?」


「はぁ? 茅乃?」





 今日は趣向を変えたのか?


 連日の質問の中で、初めて飛び出す茅乃の名前に俺は思わず箸を止めた。


「それにしても、茅乃ちゃん。

すっごく可愛かったよな~…。

あれは高校でも相当モテてるよな。

それに、何より、茅乃ちゃんの圭史に対する態度。

あれは見てて笑えた。

圭史が完全に尻に敷かれてるんだから」





 あははははと大声で笑い飛ばす誠。


 前々から思ってたんだが、お前はイチイチ声が大きいんだよ。


 見てみろ。


 食堂にいる連中がお前の声で注目を浴びてんだよ。