「いや~…。

そういうことは、圭史本人に聞いてみて」


「いえ、大丈夫です」





 さっきのコウさんの反応を見ただけでわかりましたから。


 本当に最低野郎。





 コウさんは苦笑しながら、「圭史もいろいろとあったから…」と意味深な言葉を残す。


 気になる言葉だったけど、コウさんの遠くを見る目を見ていると、なんとなく聞けない雰囲気だった。


「茅乃ちゃん。

ちょっと歩こうか?」


「へ? 

あ、そうですね」





 店の前で永遠に話しているわけにもいかない。


 あたしはコウさんと一緒に緩やかな坂が続く閑静な道を歩いていった。