「へ~…。

どんな人だったの!?」





 素早く手帳とペンを手に持っている真澄は一人、男子軍団の中に入り込んでいた。





 真澄―――…





 もちろん、我を忘れて勢い込んで話し込んでいた男子はそんな真澄の一言にぴたりと口を閉じた。


 それから、クラスにいる女子の冷たい視線が自分たちに注がれていることに気付いたのだった。


「いや~…、

まあ、綺麗な人だったよ………」





 冷静になった男子たちは自分たちが今何を言っていたのか思い出したのか、気まずそうな顔でトーンを落とす。





 一斉に散らばった男子。


 そんな中、真澄だけが、ペンを持つ手を振り回し、

「ちょっと、詳しく教えてよ~!」

と叫んでいた。





 それにしても、綺麗な女の人ね………。





 深く考えることもせず、あたしは自分の鞄を持つと、教室を出た。