「え? 茅乃? どうして?」
「やばいって!
あの目を見てよ。
奴がやってきてる。
あたしたちのこと、気づいてるって!」
「え? どこ?」
そうだった。
真澄は圭くんの顔を知らないから………。
「とにかく、帰らなくちゃ!」
未だに圭くんの存在を探そうとしている真澄の腕を取って、あたしは帰る体勢に入ろうとする。
だけど、奴のほうが一足早かった。
「こんなところで、何をやってるんだ?
茅乃?」
優しそうな声。
後ろからほんのりと聞こえてきた真澄の甘い声。
そこには、きっと圭くんはあの優しそうな笑みを浮かべているのだろうと想像ができた。
だけど、あたしは知っている。
その奥に潜んだ、奴の悪魔のような性格を。
「え、え、えっと………。
その~、学校見学?
一応、受験とかのために………」
怖すぎて振り返ることができないあたし。
なんとか聞かれたことには答えたものの、取り繕ったあたしの言葉など圭くんはお見通しに違いない。
「ふ~ん……。
お前って、まだ一年生だろ?
一年の段階で受験対策か?」
ギクリ…。
さすがに、気づかれてる。
だけど、言ってしまった今、「嘘でした」だなんて言えない。
「う、うん……」


