「あ～…。

あたし、なんか圭くんにいいように振り回されてた気がする………」


「振り回されたって、どんな風に？」





　ハァと溜息を吐いていると、突然聞こえてきた声。


　「ん？」と顔をあげると、目の前にはキラキラと期待に目を光らせたママの顔が―――


「うわっ！　

マ、ママ！？　

なんで、いきなり…ってか、勝手に部屋の中に入ってこないでよ！」


「あらっ。

ノックはしたわよ？　

だけど、茅乃。

なんだか、ハッスルしてたみたいだから」





　ハッスルって………。


「ところで、何をどう圭くんに振り回されたの？」





　興味深々に聞いてくるママを、あたしは呆れた顔で見るしかできなかった。


　どうして、ママはこう聞いてこようとするわけ？


　ママこそ、このあたしと圭くんの一連の騒動を面白がっているとしか思えない。


　第一、圭くんとまた、関わりを持つことになったのは、ママが原因なんだよね。





　ジ～ッと見ていると、ママは焦ったように「何よ」と聞いてくる。


　何よじゃないよ、全く………。