「なんかね、成績が少し下がっちゃったみたいなの。
そこで家庭教師をつけようかと思ったみたいなんだけど、全然知らない人からだと抵抗があるみたいで」


「それで、俺?」


「そうなの。
真鶴(まづる)さんも、知り合いであるあんたなら安心だって…」


「そんなこと言われてもな~…。
俺、もうバイト一つしてるし」





 結構、実入りのいいカフェのバイト。


 あれを辞めるのは、俺としてはちょっときついし………。


「家庭教師っていっても、毎日ってわけじゃないのよ。
週二ぐらいのペースでっておっしゃってるから、あんたの都合のいい日でいいって」


「あ……、まあ、それだと助かるけど………」





 だけど、問題はそこだけじゃない。


 もう一つ肝心な問題が残っている。


「ところでさ。茅乃は、その話OKしてんの?」





 俺の記憶の中での茅乃だと、即断りそうな気がするんだけど。


 最後のほうはかなり嫌われてたし………。


 それに、付き合いなんて全くないしな。


 だから、てっきり断ってくると思っていた。


 だけど―――