『ていうかまじびっくりしたぁ~。だってあの陰湿っぽい川村さんがさ、暴力振るうんだもんね』
『………暴力って何?あんたひかるの何知ってんのよ』
坂下チイコのひかるを馬鹿にした言葉にイラっとした。
『…っ!……な、何言ってんの~?たかが川村さんじゃん♪なんか、ノロイのタロットとかやってそうじゃん?あ、正直思うでしょ?あの顔で時田くんと付き合うとか前代未聞だって』
坂下チイコは桃子の肩にポンと乗せてきた。
『ちょっとやめて』
桃子はパシンと手を掃いのけ、朔に合図して廊下にでる。
坂下チイコは目がキレていた。
『女って怖ー!』
男子は煽り楽しんでいる。たしか、このクラスの男子は全員嫌っているらしい。私のことを。
まぁ、このままだとブスが怖いで終わってしまう―。
このことは、今日の夜、謹慎の初日に桃子から聞かされた。
『もう驚かせないでよー!!もおー!!』
受話器の向こうから桃子の声が聞こえる。
『すまんすまん…』
私は失笑しながら咳をきらす。
桃子たちはそんな笑ってる余裕がなかったようだった。
『とにかく謹慎程度で済んでよかったわね。無事帰って来れるし』
『あっ…。そうか』
『何が?』
『いやぁ、またあたしあのクラスで冷たい目で見られるのかと』
『それあんたのせいでしょ~。努力しないんだから仕方ないじゃん』
私が気がかりなのは、戻ってきた時のクラスの反応。ブス出て行けよとか言われた日には、また…。

