「紗月くんか。良い名前だね」 「あっ、ありがとうございます」 私はぺこっと頭を下げた。 「それで、ここのメイドは住み込みで仕事をしているんだが、紗月くんも、それで大丈夫かい?」 「もちろん、大丈夫ですっ」 住み込みの方が良いもん。住む家も無いし、困っていたところだ。私が嬉しくてにこっと、旦那様もにこっと笑ってくれた。 すると、コンコン、と音がして扉が開いた。