私は次の日の朝、お母様の部屋に呼ばれた。
あの日からお母様は、お母様じゃないみたいだった。いつもボーっとして、何を考えているのかも分からない。
声をかけても、元気が無い。
「…どうしたの、お母様」
恐る恐る声をかける。
何を言われるんだろう…
「…紗月…、実はね、お父様…、家のお金、全部持ってっちゃってたの…」
「え…?」
「だ…から、ここには、もう…いられない…。メイドに払うお金もないし、紗月たちの学校に払うお金もないの…」
…お父様が、お金を全部…?
「紗月には…悪いと思ってるの…。でも、美緒はまだ中学生…、だから、これは紗月にしか頼めないの…」
…お母様、何をいうの…?
「ここを出て、働いてほしいの…」
