俯いていたなら… 宇堂さんはともかくも、私は宇堂さんを見たとは限らないじゃん…。 いや… きっと、見てない。 仮に視界に入っていたとしても、緊張しすぎて、周りが見えてなかったんだと思う。 「すいません…。覚えてなくて。」 「いいよ。そんだけ緊張してたんだな。まあ俺は、あの時、アンタを見てたから朝も道を教えることが出来たわけだし。」 微笑む宇堂さんに、朝のお礼をもう一度言って、帰ろうとすると、宇堂さんが呼び止めた。