はじまりの合図


理香子がパンフレットを指差して言った。舞と私がパンフレットを覗き込むと、教員紹介という欄にさっきのおばさんが載っていた。

『行こっか』

「うん」

左に真っ直ぐ行っていると、教室の前に表が貼ってあった。

『うちは三組で…、ゆっこと一緒だよ!でも舞と離れたぁ…。』

『うわ、あたし最悪だ。七組とか階違うじゃん。二階じゃないしぃ〜。しかも隣のクラス三年だし』

舞は残念そうにため息をつくと、ひらひらと手を降り、休み時間にここにくるねぇ、と言って三階に上がって行った。

『えっ?九組まであるん!?良かったなぁ、三組で』

「うんうん!よし、三組行こっか」

二人で三組に入ると、もう大半は席についていた。隣で理香子は咳払いをすると、自分の席を探した。

『ゆっこ、席どこぉ?うちここやったわ!結構良さげやんなぁ』

「私あっちの端っこ…」

『遠いなぁ…。まぁ、同じクラスやっただけでいいんやけどな』

理香子は自分の席に座って黒板を見ている。私も自分の席に座って、黒板を見た。

『有紗!あんた、いてはったのぉ!?そんなら始めから言いやぁ!』

『ごめんて、こっちに越して来てん。』

後ろで理香子の大きな声がして振り向くと、ショートカットの可愛い女の子と親しそうに話していた。

『あ、ゆっこ!こっち来てや!』

手招きされて、おずおずと近づくとショートカットの女の子は嬉しそうに笑った。

『理香子のお友達さんなん?可愛えぇやん!』

『ええやろ!あ、ゆっこ。こっちうちの友達なん。有紗がどうしても友達なりたい言うてな』

「有紗ちゃん、よろしくね!」

『よろしくな!有紗って呼んでええから、あたしもゆっこって呼んでええ?』

「いいよ、いいよ」