パンフレットの地図を手に階段の角を曲がろうとすると、気難しそうなおばさんが一人立っていた。
『おはようございます。…この紙に丸を付けて下さい。』
おばさんが言った通り、名簿から自分の名前を探して横に丸をつけた。
『一年教室は、二階に上がって左に真っ直ぐ行けばあります。教室の前にクラス分けの表を貼っているので、それを見て行動してくださいね』
「はい…」
私達は小さく返事をして階段を上がった。すると舞は、後ろを気にしながら小声で言った。
『なに、あのおばさん!あんなんが担任とか言ったらまじあたし、死ぬんですけどっ』
『うちもやぁ…。毎日んように、言われるんやろぉな。最悪やんっ』
二人は深いため息をついて、パンフレットを開いた。
『さっきのおばさん、この人やん。…でもウザそうなん、こいつくらいやん』


