はじまりの合図


「破んないんでよ〜」

『破らへんってぇ!』

階段の難関を過ぎて、校舎と体育館を繋ぐ渡り廊下にさしかかった。

ぎゅうぎゅうの中で歩くのは、もう慣れたみたいだ。

『もうすぐ着くでぇ』

理香子は歩くのを早くすると、少し大きめの声で叫んだ。

私達は小さく返事をすると、足を早めた。