「昨日、2年5組榊原洋絵さんが自殺しました。ーーこれから皆さんにも話を伺うことがあるかも知れませんが、是非協力を…」
ざわめきが止まらない体育館。
あたしはコテで巻いた毛先をいじりながら、その様子をボーっと見つめていた。
「芽生」
名前を呼ばれ振り向く。
「なあに?香奈」
香奈は短めのボブが特徴女の子。
バッチリメイクしてある目を輝かせていた。
「ねえねえ、洋絵はホントに自殺だったのかな」
仮にも同じクラスの子が死んだというのに、なんで笑えるのだろう。
洋絵じゃなくてこいつが死ねば良かったのに。
あたしは香奈を無視して前を向いた。
洋絵は、明るくて優しい可愛い女の子だった。
いつも髪を綺麗に巻いて、化粧だって上手で。
みんなに隔てなく優しい、いい子だった。
なのにどうしてこんな事になっちゃったのよ…。