1958年。


長かった赤線の時代が全ての幕をおろした4月。

母が死んだ事を新聞で知った。

赤線で生き赤線で死んだのだ。

赤線を仕切っていたヤクザ者と警官の争いに巻き込まれ流れ弾に当たって即死。

2日間放置され引き取り手のない遺体は無人墓地に埋葬されたらしい。

不思議と涙は出なかった。

母としてではなく女として見てきたからかもしれない…。

さよなら、母さん。

これで私の過去は全て消えたんだね。


さよなら…赤線の私。