私には分かっていた。
もう別々の道を歩き出し二度と戻れない事も…

『母親みたいなもんなんだねえ』

電話を切った私に店主が話し掛けて来た。

『はい、親を亡くしてからお世話になりました』

一礼して私が外へ出ると雨がポツリポツリと降りだした。

『聡子姉ちゃん!』

英生と栄太郎が傘をさして迎えに来た。

私の涙は雨が隠してくれた

『ありがとう、栄太郎ちゃん』

私はにっこりと笑って英生の元へ向かった。