中村英生は30歳。妻と死に別れて3年、5歳になる息子と2人で暮らしている。


漁師をする傍ら、大工もして生計を立てている働き者だ。

朝は近くの祖母に栄太郎を任せ大工仕事がある時は栄太郎も連れて行くのだと言う。

私は自分の事は戦争の遺児で親は居ないと告げた。

『聡子さん、行くあてがなければ暫くうちに居て栄太郎の子守りしてくれると有難いんだが…』

英生なりの優しさだと私は思った。