私は仕事を終わらせ若女将の部屋へ向かった
『女将さん、失礼します』

そう言って襖を開けた。

私は若女将を見て言葉もない位驚いた。


長い黒髪を下ろし真っ赤なガウンを纏い全くの別人に見えたのだ。

でもその容姿は美しく艶やかでまた着物と違う色気を女の私でも感じてしまっていた。

『聡子、あの人の事は気にしなくていいんだよ。私達は仮の夫婦なんだから』

そう言って笑っている。