美代子は中山の手を握り玄関へと引きずった。
一瞬中山が私に目配せをした。

私には分かっていた。
中山も私と離れる気はない…。

中山を待とう。

彼は私を選んだのだ。

私は簡単に荷物を纏めひたすら中山を待った。

3日目の夜更け…誰かが戸を叩く。

中山だった。

私は鞄を握りしめ中山の胸へと飛び込んだ。
『聡子、急ごう…』

私達は終わりの見えている愛と知りつつ、夜行に飛び乗り後戻りはしないと誓った。