試合は松本の大活躍で我が校の優勝となった。




試合が終わって松本に手を振ってもらい、言うことなしで満足した名雪と帰りのバスに乗った。




疲れた二人は頭をくっつけあってウトウトと居眠りした。




突然、停留所で名雪にたたき起こされ、名雪に慌ててバイバイをしながらバスを降りた。




「ふぁーーぁーあ...また
 降りそこねるとこだったぁ。」




おおあくびをしながらバス停から家まで歩いた。




「ん...?」




家へ着くと、那抖が門に寄りかかり、無防備な寝顔で座ったまま居眠りをしていた。




「この人何してんの?」




なんだかサラサラとした髪の毛に触りたくなって、そぉっと2回撫でた。




「...んっ。ぬぁっ?紗茅...?
 おまえどこ行ってたんだよ!」




突然起きた那抖にびっくりしたあたしは、何事もなかったかのように那抖の手をひっぱった。




「あっ・・・ほら、立って。
 行くよ!」




那抖の質問には答えずに私は玄関の鍵を開けた。




「・・・んっおいってばぁ!
 どこ行ってたんだよ〜!」



那抖は片手に持っていた小石を置いて、お尻の汚れを手で振り払いながらあたしの後を追いかけた。






あたしは真っ直ぐ2階へ行き、少し散らかっていた部屋を急いで片付けた。




「お〜い!」

玄関先から覗き込み那抖が叫んだ。




「2階、2階!」





そのまま那抖を呼び、2階へ上がらせた。