バイトに行く途中に、高槻の姿が目に入った。




高槻と・・・

あれ?名雪・・・




あたしは心配になり、後をつけて行った。




「ねぇ、名雪ちゃん♪
 お金貸してくれるかなぁ」



「ないよ・・・」



「ない訳ねぇーだろっ!
    お嬢様がよー!」

高槻が名雪の後ろにあった看板をバンッと叩いた。




「あたしが貸してあげようか?
   でも高い利息付きよ」




「吉岡っ!」




「さっちゃん!」




「名雪に手を出すなって
     言ったよねぇ・・・」




「あんたら、喧嘩してんじゃ!」




「してないし・・・
 あんたに関係ないし」




「行くよ。名雪・・・」




「うっ、うん!」




「待てよ!」

高槻があたしの肩に手をかけた。




「触るなっ!」

汚い物に触られた感じがして、咄嗟に高槻の顔面にパンチを入れた。


――ガツッ!


「やーっ!痛ーい!」




「あっ、やっちゃった!」



「あーあーっ」

名雪が口を抑えて、高槻にまたやられちゃったねって顔をした。




高槻は鼻を押さえてのたうちまわった。




「文句あるなら
 真正面からおいで。
 いつでも相手してやるから」



高槻は鼻を押さえながら、何かを叫んでいた。



「いこっ!名雪」



「うんっ」