それでも心配だったあたしは、次の日も病院へ行った。




那抖の病室は開けっ放しで、那抖ともう一人の聞いたことのある声がした。




「那抖君ったら、おっかしい♪」






――名雪・・・?






那抖も楽しそうに笑っていた。




名雪はよくて、あたしは・・・




――あぁ、そういうことか・・・




あたしは病院に来る途中、花屋さんに寄って買った黄色い花を、ゴミ箱に投げ捨てた。




バッカみたい。




やっぱり信じるんじゃなかった・・・




心のドアの鍵が、ガチャリと音がして閉まった。




家に帰りそのまま部屋のベッドに倒れこんだ。




なんで正直に言ってくれなかったんだろう。




看病してるうちに仲良くなっちゃったとか?




はは。笑えてくる。




「あぁ、忘れてた」




薬指の指輪を外し、ドレッサーの引き出しの奥に転がした。




今回はあっと言う間に終わっちゃったね。




ぽろりと涙がこぼれた。




「そんな心配そうにしなくても
  あんたは捨てないから・・・」




あたしはベッドに横になったまま、そう窓際のサボテンに言ってあげた。