雅人に聞いた話しは、少しショッキングだった。




あたしと付き合う前、那抖には同い年の彼女がいた。



その彼女は今はもう亡くなっていた。



那抖がバイクの後ろに乗せている時に、事故ったのが原因だった。




もうバイクには乗りたくないって言ってたのは、それが理由だったんだ。



なんだかあたしを見て、少し悲しそうな顔をしてたのはそれだったんだ。


那抖･･････




それからは、那抖の生活は荒れてかなり遊びだしたらしい。



バイクには乗らずに、色んな女の子と付き合い、別れを繰り返す。



あのケバイ女もその一人だと。



周りからは喧嘩っ早い、一匹狼と噂がたっていたそうだ。




「俺、風岡さんのことは
　噂に聞いたことあるよ･･･
　顔は知らなかったけどな。
　まさか紗茅の彼氏が
　風岡さんだったとはな･･･」

雅人は顔をしかめて、煙草を灰皿にギュッと押し潰した。




よくわからなかった。



聞いたからって、何かが変わる訳でもないけど･･････



何かが心の中でもやもやとした。