由衣は、小学校1年だった
。家族は、父、母、5つ離れた兄の4人家族。

『ただいま、、、』

帰っても、誰もいない。
由衣はランドセルを玄関に置き、家には入らずに外へ出た。

帰っても、誰もいない。
静かなこの家は、由衣は嫌いだった。広い空間にひとりぼっちが怖かった。

夜になり、家族みんなで夕飯をかこむ。

ご飯は必ず父から食べる。それが家の決まり。
テレビを見ながら楽しい夕飯。


数時間後・・・

父の怒鳴り声が由衣たちを震わせる。

『なんだ、この飯は!?こんなまずいもん、喰えるか!!』

料理が皿ごと母に投げつけられる。

すでに床にはビール瓶がつららのようにある。

20本はあるだろう。

そうなると、決まって母は、兄に由衣を連れて2階へ上がるようささやく。

小声だが、しっかりと、強い口調だった。

そこからは、なにが起きているのかは分からない。

食器の割れる音、怒鳴り声……

大体の予想はついた。

由衣は兄に寄り添った。何も話さず、必要以上動かず……。

夜中、由衣が目を覚ましトイレへと階段を降りる。


『……………』


声が聞こえる。

『……………』

母の、すすり泣く声。


真っ暗い部屋の中で、祖母と電話をしていた。


由衣に気づくと、いつもの母に戻った。


きっと、この時、母は離婚を決意したのだろう。