モノクローム


赤外線で送って貰った番号に、その場であたしはコールする。


「あたしの番号、登録してくださいよ?」

平常心を装い、あたしは努めて明るく振る舞った。


「そのうち、突然悪戯メール送っちゃうから!」


ハハハ!と零は笑って携帯をしまった。





乗るはずだった12分発は行ってしまい、次は30分…


「乗り遅れついでに、ミスドでも行く?」

零の言葉でまたあたしは舞い上がる。


零の言葉、表情一つに一喜一憂してしまうのは

やっぱり零に恋してるから…



「行く行く!
でも零がドーナツ食べるなんて、想像できないよ〜!アハハッ!」


「そうかな…?たまにはね、ていうより京奈ちゃんが食べたそうな顔してるから」


「え゛っ…」


「ほら、また本気にする」

零はプッと笑うと歩き出した。

その後ろを追いながら

「ねぇ、さっきの本音でしょ?」

あたしは突っ掛かるように聞く。


「ドーナツ嫌い?女の子なんだから好きでしょ?…だ.か.ら!」


「そうだけど…」

口を尖らせながらあたしは零の横に歩調を合わせた。