あたしはその心の高まりに力を借りて言った。
「……零、アドレス…聞いていい?」
「あぁ…そうだね。
……構わないんだけど…」」
零はポケットから携帯を取り出しながら
そう前置きをして言った。
「俺さ、メールとか苦手で、まずメールはしないんだよね…
メンバーとの連絡もだけど、よっぽど繋がらない時以外は電話の方が早いしね」
さっきまで膨らんでいた気持ちが
音もなくシュルシュル…と萎んで行く感覚に
あたしは逃げ出したいほど恥ずかしくなった。
「そ…うなん…だ…
あっ!じゃあいいですよ。変なこと聞いてごめんなさい」
手を大袈裟に振りながら、苦笑いするあたし…
(調子乗るんじゃなかった…)
「いいよ!いいよ!
なんかあったらメールしていいよ?
番号も教えておくね」
きっとあたしが情けないほど哀しい顔をしていたからだろう……
(やっぱり零は優しい人なんだ…)
その気持ちにあたしは目頭が熱くなった。


