壁から少し奥になった位置にある
切符売り場の前に零がいて、あたしに近づいてきた。
「あれ?帰ったと思ってた!」
「うん、京奈ちゃん待ってた」
「えぇーッ!まぢですかぁ?」
あたしはただそう言っただけかも、と、舞い上がりそう気持ちを抑えた。
けれど、顔には嬉しさがはっきり表れてたに違いない…
「はい、これ、誕生日のプレゼント」
零が小さな包みを差し出した。
あたしは夢じゃないかと疑った。
受け取った瞬間、目が覚めるなんて…
………ないよね?
「そ、そんなぁ…」
躊躇うあたしに零は
「チョコのお礼」
照れ臭そうに言う。
「あぁ…あれ、あれは…
なんか…反って気を遣わせたみたいね」
あたしは零から包みを受け取った。
「嬉しい!ありがとう…」
あたしはこの上なく高揚して
感激で胸が一杯だった。


