バイトも後半に差し掛かっていた。
(はぁ〜、あと30分かぁ…)
立ち読みをして、無造作に置かれている雑誌を整頓している時だった。
ふいに肩をポンポン!と叩かれ
びっくりして振り返ると、真後ろに零が立っていた。
「おつかれ!あと少しだね」
「今日は時間いつもより長いから、疲れちゃった〜」
フフッ…声にならない笑いをすると
「零は頑張ってね」
と言い、改札とは逆に歩いて行ってしまった。
ダラダラと時間をやり過ごしていたあたしは
残りの30分、いつも以上に張り切って働いたのは言うまでもない。
(…ったく、あたしも単純なんだから!)
内心自嘲しながらも
あたしの動きは軽やかだった。
そしてバイト終了!
エプロンを外し、ジャケットを着てロッカーを出る。
(てか…あれから零、どこ行ったのかなぁ…
見過ごしただけで、帰ったよね…)
あたしは店を出た。
そしていつもの12分発に乗るため改札へ向かう……
――――えっ?!
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