声楽主任の小倉先生が入ってきた。
そして、ソプラノとアルトに分かれて練習が始まる。
楽譜を一通り目を通して、最初の始まりの音を確認し
ピアノの前奏が始まれば初見で皆スラスラ歌い始める。
(お、おいっ!出ないよ、こんな高い声!
しかも皆初めてなのに、なんでこんなに簡単に歌うんだよっ!)
あたしは焦りながら、さすがに声量を発揮せず
殆ど口パクで、かろうじてメロディーに合わせた。
(拷問だぁ〜!あんな高い声出そうと思ったら、頭の血管切れそう…)
あたしは、この聖歌隊の練習が苦痛でたまらなかった。
しかも卒業式、正装だし…
ローソク持って楽譜片手に歌うなんて
イメージいいかもしれないけど
あたしにとってはすごーく気が重かった。
そして退屈極まりない半日のレッスンが終わり
あたしは知った顔ぶれたちとランチをして、バイトへ向かった。


