それからあたし達は、地下鉄とバスに分かれた。
なんとなく淋しさが襲う。
これ以上、零との距離は埋められないのかな…
零に聞きたいことは山ほどあるのに…
零の支えになれないのかな…
あたし達はずっとこのまま
電車で偶然会えた時だけしか、話しもできないのかな…
テンションは一気に下がっていった。
何しろ保育科だけしかない、小さな短大だ。
――聖城保育短大――
一学年200人しかいない。
高校と差ほどシステムが変わらず、月曜から金曜まで
クラスごとに時間割りが決まっている。
選択授業の時だけは4クラスのうち、2クラスづつ別れることはある。
幼稚園教諭免許と、保育士資格を取るには
こうして必須科目を履修しないと、取れない。
国家試験を個人で受験しなくても
短大の必須科目さえ取り、卒業すれば
2つの資格が取得できる。
それだけに、普通の大学生のような自由な空き時間もないのだった。
そんなこともあり、一年もすれば、同じ学年の顔ぶれの殆どを知っていた。
音楽室へ行くと、既にプリントを渡され
熱心に音を拾っている子もいる。
(ほらね…皆真面目チャンばっかり!)
あたしは窓際の隅の席に座った。


