「今日、学校終わったらそのまま帰るの?」
電車を降りると零が言った。
「バイト、今日は2時からあるんですよ?
誕生日だっていうのに…ねっ」
少しむくれて、零の顔を見上げた。
「彼氏、いないの?」
「あぁ……
別れたばっかりなんです…」
あたしは視線を落とした。
「そう」
零は短くそう言っただけだった。
どちらが言い出したのかとか、落ち込んでるのかとか…
何も興味がないみたい…
『零は誰ともつきあわないよ』
またアキの言葉が頭の中でこだまする。
零?
あなたは何を抱えているの?
あなたの心の中は
どんな哀しみがあるの?
あたしじゃあなたを救えないの?
時間かかってもいい…
あたしはあなたの力に
なりたい……
あたしに、あの時のような
歯を見せて思いきり笑う顔を見せて欲しい…
……零――――
あたしは
あなたが
好きです……。
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