「ごめん!俺ももう行くわ。わりぃ、アキ、車のキーかして。ギター置きっぱだから」
楓が言うと
「あ、俺も」
とジョーまでもが立ち上がった。
(えっ?な、なんなの?
あたし、まずいこと聞いた?)
あたしはそわそわして落ち着かなかった。
「じゃあ出るか!」
アキがポケットから財布を取り出した。
「京奈ちゃんはいいからね。零からもらってるし。
松河まで送るよ」
「何から何まで…すみません」
あたしは大層恐縮した。
会計を済ませ、駐車場でジョーと楓と別れ
あたしとアキは車に乗った。
エンジンをかけながらアキが言う。
「なんか…さっき話、途中になってごめんね?」
「いえ、あたし変なこと言ったかな…」
アキの顔色を窺いながら尋ねた。
アキはごまかすように煙草を取り出し、長い煙を吐いたあと口を開いた。
「アイツ…零は…」
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