零が鍵を開けると、窓一つない空間が目に入った。


色々な機材が置いてあって、メンバーはそれぞれに楽器を用意したりと、準備を始めた。



マイクの音量を真剣な顔で調節している零…


さっきまで、和やかだった休憩室の雰囲気とは異なり

メンバーそれぞれ、顔付きが変わっている。



あたしはとても場違いな所に来たようで、隅っこで突っ立っていた。



「京奈ちゃん、あそこ座りな?
ここスピーカーの前だから、音、ハンパないよ?」


「えーー!まぢで?」



あたしは何の変哲もない、古めかしい丸椅子に腰かけた。



アキは太いしっかりした腕で、早くもリズムを叩いている。


ギターとベースもそれぞれ音慣らしをして、独特の音が入れ交じっていた。



「どんな曲やるの?コピー?」


あたしが尋ねると零は少し得意げに言った。


「最初はコピーから始めたけど、今はオリジナルだよ」


「へぇ〜すごぉーい!
楽しみ☆」


「耳ざわりにならなきゃいいけど?」


零は笑って、仲間の方へ戻って行った。