「そ、そうなんですよ!
たまたま電車で何回か顔合わせたくらいで…

…携帯とかもお互い知らないし…ねっ!」

あたしは我に返ると明るくそう言い否定した。


「そーなんだ?え?最近なんだ?」

「最近…ていうか…」


あたしは助けを求めるように零を見る。

零は困ったような顔で俯いていた。



(なんか…変なコト言ったかな…)


その時

「おはー!」
「ウッス!」

という声と共に、二人の顔が見えた。


「お〜!今日は一緒だったのか?!」

アキが言う。

「そこで一緒になったんだ」

一人が言うと、もう一人が

「あれっ?アキの新しい彼女?」

と言った。


「ちげーよ!零の知り合いの京奈ちゃん」

アキはあたしを二人に紹介し

二人をベースのジョーとギターの楓(カエデ)だと紹介した。



その間の零は…と言うと、マスターから鍵を受け取り、何やら耳打ちをしたりしている。


(あたし…来てよかったのかな…)



零はあの時、あたしが断ると思って軽く言ったつもりで…

あたしが着いてきたのがいけなかったかも…


あたしは少し後悔していた。