どんより曇った朝だった。



玄関の前には・・・



またヒロがいる。


(マジ、勘弁!)


あたしを見るなり、車の窓硝子が開く。

ヒロが顔を出した瞬間にあたしは言った。


「こんなことされたら、嫌いになっちゃう…
ヒロのこと、嫌いになったわけじゃなく、好きじゃなくなっただけ。

…だから、嫌いにさせないで!」


あたしは思いきり走った。

いつかの朝のように…



ヒロはあっという間に追い付き

「諦めないぞ!」

と窓越しに言うと、スピードを上げてあたしを追い越していった。





駅に少し早く着いたあたしは、ベンチに座った。


おひさまが出ていないせいもある。

けれど今にも降り出しそうな空模様は

あたしの心を映しているようだった。



―――ヒロ…


どうしたら、解ってもらえる?


解るわけないか…



あたしの頬を冷たい風が刺す。

その冷たさよりも

心の方が痛かった。





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