車に乗るとヒロは途端に弱々しい声になり
「なぁ…考え直せよ。
今日、絵里ちゃんに少し聞いたよ」
「な、何を?!」
「別にどうなる関係じゃなく、お前が勝手に片思いしてるだけだって…
だから、昨日はあんなこと言って、ごめん」
「………」
「相手はお前のこと、何とも思ってないんだろ?
だったら、そんな奴諦めろよ!
俺じゃダメなのか?」
あたしは何も答えられなかった。
「黙ってないでなんとか言えよ!」
「……ごめん…」
「ごめんじゃねーよ!
なぁ、京奈、俺別れたくないんだ…」
「……ごめん…ホント無理…」
「お前、馬鹿だぞ?
よく考えろって!」
「とにかくほっといて!」
あたしはドアを開けると、逃げるようにして家に帰った。


