「……だからさぁ…
絵里、あたしは早引きしていないって伝えて?」
「う〜ん…」
絵里は浮かない顔で困っている。
「お願い!昨日の今日で、あたしも辛いんだ」
「まぁ…ヒロ君も必死なんだろうけど、朝、玄関の前にいたとかは…ちょっとね…」
絵里が弥生に同意を求めるように言うと
弥生もうんうん、と頷くように首を振る。
「明日香、お願い!今日は裏門から一緒に出て!
帰ってから電話してみるから…今は会いたくない…」
あたしが泣きそうな顔をして明日香に頼むと
「…ったくなぁ〜、逃げたらダメだと思うけど?」
と言いながら仕方なく靴を履き
裏門のあるチャペルの方へと歩いて行った。
「絵里も、ごめんね!
上手く言っておいて」
あたしは両手を擦り合わせて絵里にお願いすると
急いで明日香の後を追った。


