零が肩で息をするように立っていた。


目を合わせると、零はあたしに近づいてきて

ドアの手摺りに捕まり、ふと耳元で囁いた。



「この前はありがと」


ドキッ!


セクシーな声にクラクラと目眩がしそう…


あたしの髪に、零のサラサラの髪が触れる。


コロンの匂いに酔ってしまいそう…



「いいえ…」

あたしも小さく言って、首を振る。


零の顔がまともに見れなくて、あたしはずっと窓からの景色を見ていた。


「あ、そういえば、最近バイトしてないんじゃない?

お礼言おうと思って、覗いてもいつもいなかったね」

零が言った。


「そう、お休みしちゃってて…」


「そうか……
え?お休みしたって…具合悪かったの?」


「ま、まぁ…ちょっと…
あ、でもほら、もうすっかり!」

あたしは零に心配かけないよう、笑顔で零の顔を見上げた。



(ウワッ!超かっこいいし!)


あたしは思わず零の顔に見とれて

それからすぐ視線を外した。