少し沈黙のあと、零がポケットから煙草を取り出して火をつけた。
ヒロはずっとスポーツをしてたから煙草は吸わない。
あたしは零の煙草を吸う仕草に見とれていた。
(なんて綺麗な横顔なんだろう…)
風が吹くと零の髪が揺れ
憂いを帯びた目が、月明かりに照らされる。
(迷惑してるかな…)
(何考えてるのかな…)
その時―
「ハァッ…クシュン!!」
あたしは思わず大きなクシャミをしてしまった。
零は煙草を灰皿に捨てると
「大丈夫?風邪ひいちゃったんじゃない?」
と心配そうに尋ねた。
「平気です!それより恥ずかしい、あんな大きなクシャミ」
「京奈ちゃんらしいよ」
「え…それって」
もじもじしてそれだけしか言えない。
きっとあたしの顔は真っ赤だっただろう。
(暗くてよかった…
でも、京奈ちゃんらしいて!)
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