結局バイトが終わるまで、零の姿を見ることはなかった。


(ハァ……見逃したのかな)

あたしは随分と落胆した。

(でも…まだ来てないだけかも…待ってみよう!)


あたしは階段が見える位置に立って、零を待った。


さすがに一時間もすると階段の下から吹き上げてくる風が冷たい。


マフラーを鼻の辺りまで押し上げる。

それでもスカートの下からスースーと冷気が入り

何度もトイレに行った。



『零を待ってるんだけど、来ない…もう帰ったのかな?(uωu;)』


明日香にメールをする。


『えーーっ!?どこにいるの?』


『駅…バイト中には見かけなかったんだよね』


『来るか来ないかわかんないのに待つの?』


『だって・・・(:_;)』


『風邪ひくよ?いつまで待つの?
変な人に目つけられたらどうすんの?』


『駅員さんいるし、それは大丈夫!
もう少し待って来なかったら帰るよ』


『気をつけなよ?なんかあったら電話して(^O^)/』



手までかじかんで、上手くメールが打てなかった。