……だめだ!
完全に零に傾いてる…
ヒロに不満はなかったけれど
どうしても零のことが気になる。
なんなんだろう…?
ヒロのことも好き。
零は?
好き……違う!
憧れ…
そう、ただの憧れ。
「……って、ほら!
京奈、またぼーっとしてる。
聞いてた?」
ヒロの声に我に返る。
「ん?あぁ…明日さぁ、ピアノとソルフェージュのテストの結果発表なんだよね」
咄嗟に話をすり替える。
「落ちないだろ?」
「あ、いや絵里がさ…
あの子、短大入ってから初めてピアノやったじゃん!前期も落ちたし…」
「てか、さっき俺が言ったこと」
「誕生日のこと?考えとく」
ヒロがあたしの誕生日とホワイトデーを兼ねて
どこかへ旅行へ行こうと提案したのは
耳になんとなく入っていた。


