あたしは心を見透かされたようで、内心ハラハラした。
ヒロはふざけて言ったけど、結構心の中じゃ色々考えてたりして……
あたしもヒロも自宅通いだから
いつもラブホへ行く。
バレンタインデーだけあって、その日は混雑していた。
やっと3件目に空室があったけど
あたしはなんとなく気乗りがしなかった。
でも、ここで躊躇うとヒロが疑うし、また機嫌も損ねるのはわかっている。
あたしはヒロに抱かれている間も
明日、零に会えるのか…
無事渡せるのか…
受け取ってくれるのか……
そんなことばかり考えていた。
「京奈?今日はなんかおかしいね」
ヒロがエビアンをぐぃーっと飲むと
あたしに顔を近づけた。
取り繕うようにヒロからエビアンを取ると
一気に流し込んでからあたしは言った。
「そおぉ?なんにも?」
「お前さ、わかりやすいから…
つかさぁ…イッてないでしょ、今日」
(ウワッ!図星!)
「んなことないよ?
ヒロにわかるの〜?」
あたしはそうごまかしてヒロに抱き着く。
「なんとなく…だよ」
ヒロはあたしの髪を撫でた。


