「ちょっと!ヒロやめて」

「なんでだよ〜!なんで俺じゃダメなんだよ〜!」


今にも泣きそうな声でヒロは言う。

あたしの方が泣きたいのに…


「ダメとか、嫌いとかじゃな…」


言いかけたあたしの口をヒロの唇が塞ぐ。

あたしは思いっきり首を振り、逃れようとした。

ヒロがあたしの頭を押さえつける…


「……いやっ!」

あたしは体を強く押し、ヒロを突き放した。


すると、ガタン!という音がしたと思うと

あたしの体勢は自然と仰向けに近い状態になった。


ヒロがシートを倒したのだった。


その上に被い被さるヒロ…



「やめて!お願いだからやめて!」


唇を首筋に這わせて、何も言わないヒロ…


あたしの目からは涙が容赦なく流れて

耳元へと伝っていく。


「ホントにヒロのこと…嫌いになるから!!」


我に返ったように顔を上げるヒロと目が合った。


暗闇の中で、その瞳は濡れて光っている…


「……ヒロ…?」

あたしは掠れた声で名前を呼んだ。