「遅かったんだね…」


「あぁ、うん」

あたしは歩き出そうとした。

「待てよ!誕生日だろ?
お祝いくらいさせてくれよ」


「いいよ、悪いし…」


細い道で止めていたのが邪魔だったようで

すれ違う車から、運転手があからさまに迷惑そうに睨む。


「プレゼント、持って来たんだ。とりあえず乗って?」


「貰えないよ!」


プップー!!

今度は後方から来た車にクラクションを鳴らされる。


「ほら、だから…早く乗って!」


あたしは戸惑いながらヒロの車に乗った。


あたしが乗るとすぐにヒロは発進させた。


「…どこ行くの?」


「たまにはいいじゃん。話そうよ」


「あたし、明日も学校あるし…あんまり遅くは…」


と言いかけると、ヒロは皮肉たっぷりに言った。


「もう充分遅いじゃん?
男と一緒だったんじゃねーの?」


「違うよ…」


それからヒロは無言で運転をした。


「ねぇ、話すならその辺に止めて話さない?

早く帰りたいし…」


ヒロは何も言わない……


「ねぇってば!どこ行くの?!」


「思い出の場所だよ」

ヒロは冷たい横顔でそう呟いた。