洞窟に響くのは悲痛の叫び声。
独りにしないで。
私をおいていかないで...。
ゆらりと体を起こすと私は着物を整えた。
ずっと私の側にいるのね。
あなたのその体は朽ちても私の側にいてくれるのね。
あなたが最後まで望んだこと、それは生き延びること。
私が生きること。
だったら私はそのあなたの望みを叶えよう。
命がけで救ってくれた唯一のお返し。
命がけで愛してくれたあなたへの唯一の愛の証。
生きて、生きてここを出る!
春牙の髪を少し切って紙に包んで懐に入れた。
彼の形見のクナイを手に握りしめ、洞窟から足を踏み出したんだ。


