ククク..と冬牙の笑う声の後、彼は口を開いた。
「もうじき冬牙は死ぬよ、朱里おいで。俺と生きるんだ。」
「イヤよ!!あなたとなんてイヤ!!」
苦しそうに目を閉じる春牙に覆い被さる様にして彼の唇に自分の唇を重ねた。
いつも常備している解毒薬。
それを自分の口に含んで噛み砕き彼に口移しで飲ませた。
「残念だけど朱里の持っている解毒薬は効かないよ。俺が見つけた新しい毒だからね。里の毒消しはどれもこの毒には効かない。」
苦しそうな春牙、彼の額には玉のような汗が光っている。
「イヤー!!春牙を助けて!!冬牙、春牙を助けて!!」
「朱里が俺のものになると約束するなら...。」
「ダメだ!朱里いけない!」
春牙を助けるために冬牙のものに...。
私を制止する春牙に私は微笑んで見せた。
春牙の命のためなら私は大丈夫。
心の中であなたとずっと結ばれている、そう思って生きるから。
「冬牙、あなたの望み通りにするから..だから春牙を助けて!!」


