私の家は小さいながらも代々続く忍の家。
生まれたときから特殊な生活を強いられてきた。
それでも私は幸せだった。
厳しい父と優しい母。
跡継ぎの男子には恵まれなかったが父は母だけを愛し、側室をとらなかった。
だから、私は小さいときから許婚が決まっていた。
子供の頃から一緒に育ってきた春牙。
三歳年上の優しい男だった。
春牙と一緒に里を守る。
それが私の役目であり幸せだと信じてきた。
だけど一夜にして壊れたんだ。
あの男の裏切りによって.....。
深夜、私の家に火が放たれた。
そして父も母も何者かに殺されていた。
胸から大量の血を流す母、首から大量に血を流す父。
私が二人に駆け寄った時はもう二人は息をしていなかった。
呆然と二人の亡骸の前にしゃがみこむ私の手を引くのは春牙。
私は焼け落ちる家を春牙と一緒に見た。


