テーブルの上で重なる彼と私の手。



「ん?」


彼は不思議そうに私を見ていた。



「私は本気です、本気で嶋田さんが好きです。」



絶対に言わないと心に誓っていた言葉。


女の子の扱いに慣れた嶋田さんには軽い女を演じているほうが彼の側に長くいれるって思ってた。


友達の一人でもいい。


自分の本気を隠してでも彼の側を離れたくないって思ってたのに...。




「芽衣ちゃん?」



困ったような表情の嶋田さん。


いきなりすぎるよね?


驚くよね?



「ごめんなさい。困っちゃいますよね?忘れてください。」



「どうして?」


「急に何言ってるんだろうって感じですよね?」



俯いて涙を堪えた。


こんな時に泣くのは卑怯だ。


涙で彼の気持ちを動かしたくなんかない。


優しい彼が女の涙に強いわけがない。


涙なんて武器を使っちゃいけないんだ。