車のドアに手をかけて大きく開け放った。


俺は何も言わずに車をおりた。



戸惑いを隠せない紫衣。


ついて来い!!


そんな思いを込めて車の中の紫衣に手を差し出した。





それでもキョトンと首を傾げて俺を見つめる紫衣。






「散歩、行くんだろ?」



「うん。」




俺の言葉に一言だけの返事が返ってきた。


それでも俺は満足だった。


その言葉と共に輝くような笑顔が見れたから...。




笑っている紫衣の表情が俺の心を和ませてくれる。







山の上は少し寒い。


夕日が空を茜色に染めていた。


琵琶湖が夕日に染められて赤に輝く。